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2003年9月5日 じゃかるた新聞掲載

連載「ジャカルタで作る世界の料理」より (5)

島名はトウガラシ
 牛田香さんのプルチン・カンク(ロンボク)
 香料を求めて大航海時代の幕を開き、十六世紀には「香料諸島」マルクに到達したポルトガル人とスペイン人の手で、逆に、インドネシアへ伝えられた香料がある。南米産のトウガラシだ。新大陸で発見、「コショウより辛い」と飛びつき、世界に広めた。インドネシアでも欠かせない食材となった。
牛田香さんのプルチン・カンクン
牛田香さんのプルチン・カンクン
ササックの村で、赤や緑のトウガラシが軒下に干してあった
ササックの村で、赤や緑のトウガラシが軒下に干してあった
一面のカンクン畑
一面のカンクン畑
「ロンボクにいると心が豊かになる」と牛田香さん
「ロンボクにいると心が豊かになる」と牛田香さん
 ジャワ語でトウガラシを「ロンボク」と言う。ピジョーのジャワ語辞典によると、「kelombok」は「(手が)焼けた(焦げた)」という意味。「焼けるような強い刺激や、刺激のあるものをlombokと言ったのかもしれません」と加納啓良・東大教授。
 ロンボクの島名はジャワ語の「ロンボク」に由来するようだ。
 ロンボク島の象徴は今もトウガラシだ。ロンボクの人々は「ロンボクのトウガラシが一番辛い。種をジャワに持って行って植えても、辛いトウガラシにはならない」と自慢する。
 トウガラシに次いで有名なのが、水草のカンクン。乾燥の激しい南部に比べ水の豊かな中部ロンボクには、カンクンの青々と茂る畑が広がる。茎が太くて柔らかい。
 「プルチン・カンクン」は、さっとゆがいたカンクンを、トウガラシなどをすりつぶしたロンボク特製サンバル(プルチン)で和えた料理だ。
 美しい緑色にゆで上がったカンクンに、プルチンと、ピーナッツやモヤシなどの付け合わせ野菜を混ぜて食べる。ぬめりのあるカンクンが、トウガラシで刺激しながら喉を通り過ぎると、たっぷりの栄養素を体が吸収している気になる。元気が出そうだ。
 「インドネシア料理の中で、油を使わずゆでるだけというのは珍しい。健康のためにいいです」と、京都府出身の牛田香さん(三三)。父の衛さん(六五)と中部ロンボクのナルマダ郡でリンジャニ・カントリークラブを経営する。
 ゴルフ場のレストランで、カンクンをみそ汁の具に使ってみたところ、お客様に「軟らかい」と、びっくりされたそうだ。香さんはプルチン・アヤムが好き。「ご飯がたくさん食べられます」。
 京都で呉服屋に勤めていた香さんは、一九九九年五月からロンボク在住。九二年七月、初めて来た時に夕焼けを見た。
 「日没後の空に雲がうっすらオーロラのようにかかり、空全体がオレンジ色になった。その美しさに感動し、ロンボクの素朴さのファンになった」
 ロンボクの良さは自然と人という。ゴルフコースをちゃかちゃか早足で歩いていると、キャディが「カオリさん、カオリさん」と呼び止め、雲の影が移動するのを教えてくれた。「うわあ、すごくいい風」と、風を教えてくれたこともある。
 「そういう心の余裕を持っているのがすごい。心のゆとりを探す毎日。ロンボクの青い海、青い空から元気をもらっている」


■プルチン・カンクン

 【材料】
 カンクン 1束
 モヤシ 約30グラム
 長豆 1束
 すだち 1個
 トマト 2個
 トウガラシ(チャベ・ラウィット) 4個
 トラシ 小さじ1/2
 赤砂糖(グラ・メラ) 小さじ1/2
 塩 小さじ1/4
 【作り方】
 (1)カンクンは手で2つか3つに折る。約5分間煮て取り出し、冷水に浸ける。手で食べやすい大きさに裂く。
 (2)トウガラシ、トラシ、塩、赤砂糖をすりつぶし、トマトを加え、最後にすだちを絞る。
 (3)カンクンに(2)を載せ、揚げたピーナッツ、クラパ、モヤシ、長豆などを添え、すだちを飾る。

■プルチン・アヤム

 【材料】
 鶏肉 1キロ
 トウガラシ(ロンボク・ブサール)5本
 トラシ 適量
 塩 適量
 砂糖 適量
 すだち 適量
 【作り方】
 (1)鶏肉をぶつ切りにし、いためる。
 (2)香辛料をすべてすりつぶす。
 (3)油で香辛料をいためてから、鶏肉を入れ、いためる。
 (4)鶏肉を取り出し、すだちをかける。

連載「ジャカルタで作る世界の料理」より
  レバラン祝う「餅」クトゥパット
  パダン−種々の香辛料が創るルンダン
  東ジャワ−名物の真っ黒なスープ
  マナド−バナナの葉に盛った粥





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