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2003年1月10日 じゃかるた新聞掲載

連載「ジャカルタで作る世界の料理」より (3)

黒い香辛料の意外な味 サンティさんのラウォン
 (インドネシア・東ジャワ)
 東ジャワ名物の真っ黒いスープがあると聞いた。
 「ラウォン」(rawon)を作ってくれることになった、スラバヤ出身のサンティさん(三九)にスラバヤはどんな所かと尋ねると、「第一に、暑いです」と言う。ジャカルタよりも、もっとずっと暑いのだそうだ。
 暑い上に黒いスープ。なかなか濃厚な取り合わせだ。味も力強いに違いない。イメージが勝手に膨らむ。
 サンティさんは、ジャカルタの語学学校で、日本人にインドネシア語を教えている。高校生の時、書道の文字の美しさに魅せられ、漢字を学んでみたいと思ったのが日本語を学ぶきっかけだ。
東ジャワ名物の真っ黒なスープ「ラウォン」
東ジャワ名物の真っ黒なスープ「ラウォン」
 「日本人は皆、勉強熱心です。生徒たちは、バティックや料理など、インドネシアの文化に興味を持っているので、うちに遊びに来て、一緒に料理を作ることもあります」
 南ジャカルタの家で、サンティさんと、タンゲランから遊びに来ていた母親のヘルブディヨさん(五九)が、一緒に料理を作ってくれた。
 ヘルブディヨさんがすり石(gilingan cabe)でスパイスをする手つきは慣れていて素早い。材料をすったり、いためるたびに、台所にはさまざまなスパイスの芳香が漂う。
 スパイスをすりつぶす時からすでに、材料は真っ黒。黒さはクルワック(kluwak)という木の実のせいだ。
 灰褐色で、くるみほどの大きさ。堅い殻を石でたたいて割ると、焦げ茶がかった黒い実が入っている。触ると柔らかい。やわらかな苦味がある。クルワックを使う料理はラウォン以外にはないようだ。
 それにしても、たくさんのスパイスを使う。ショウガ、クンチュールなどは似たような見かけで、香りも似ている。それを小さじ一、小指一本分など、少しずつ加えることが、どのように味を変えるのか、正直なところ分からない。ところがサンティさんは「どれが欠けても、作れない」と言う。
 二人の連携プレーで料理が出来上がった。
 やはり、黒い。しかし、黒い色からは想像のつかない、意外にもさっぱりとしたさわやかな味だ。使用しているスパイスがレモングラスやショウガなど、さわやかな香りのものが多いからだろうか。
 ご飯にかけながら食べる。辛さはサンバルで各自が調整し、クルプックやアヒルのタマゴの塩漬けを付け合わせにする。
 暑い所の、黒いスープには、見た目を裏切る味と香りが隠されていた。スパイスのかもし出すインドネシア料理の意外さと奥深さに、どんどんはまり込みそうな予感がする。
ヘルブディヨさん(左)とサンティさんの連携プレーで料理が出来上がった
ヘルブディヨさん(左)とサンティさんの連携プレーで料理が出来上がった
黒さの秘密はこのクルワックの実
黒さの秘密はこのクルワックの実


■材料

 牛肉(もも)500g
 〈スパイスA〉
 ブラックナッツ(kluwak)5コ
 コリアンダーシード(ketumbar)小さじ1
 クミンシード(jinten)小さじ1
 ウコン(kunyit)小さじ1
 ショウガ(jahe)小さじ1
 クンチュール(kencur)小さじ1
 キャンドルナッツ(kemiri)5コ
 赤唐辛子(大)(cabe)2本
 赤小玉ネギ(bawang merah)5コ
 ニンニク(bawang putih)2片
 コブミカンの葉(daun jeruk)6枚
 レモングラスの茎から根元の部分(sereh)1本
 塩 小さじ1
 砂糖 小さじ1
 ヤシ油 大さじ1
 うまみ調味料 適量
 葉ネギ(daun bawang/kucai)10本
 もやし(生食用の短いもの)(taoge)適量

■作り方

 (1)水2リットルに塩少々を入れ、牛肉を固まりのまま1時間ぐらいゆでて、スープをとる。肉は取り出してこま切にする。
 (2)kluwakの殻を取った中身と、スパイスAをすべてすり石かブレンダーでペースト状にし、混ぜ合わせる。
 (3)フライパンにヤシ油大さじ1を熱し、(2)とコブミカンの葉、根元を石でたたいてつぶしたレモングラスを入れて、よく炒める。
 (4)牛肉と(3)を肉のゆで汁に入れて煮る。15分ぐらい煮たら、刻んだkucaiを入れて火を通し、塩、コショウ、うまみ調味料で味を整える。
 (5)皿に盛り、生のもやしを散らす。

連載「ジャカルタで作る世界の料理」より
  レバラン祝う「餅」クトゥパット
  パダン−種々の香辛料が創るルンダン
  マナド−バナナの葉に盛った粥
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