ゴルカル党のアグン・ラクソノ中央執行部委員長は17日までに、じゃかるた新聞との会見に応じ、同党の来年の総選挙と大統領選挙に向けた戦略を語った。アグン氏は、かつてインドネシア政治の主役だったゴルカル党が、組織再建で国民の人気を回復した勢いに乗って総選挙で多数議席を確保し、大統領選挙に向けて政治のキャスティングボートを握ることが重要だと述べた。
アグン氏は来年四月の総選挙のゴルカル党の得票率について、「目標は二五%に置くが、党の計算では三〇%の票を獲得する見込みだ。あまり野心的になるのではなく、現実的に捉えている」と述べた。
同党の選挙戦術は、中央から村レベルまで党機構の引き締めを図るとともに、「ゴルカル支持者グループ」と呼ぶ約二百七十万人の運動員を組織。投票日には、この運動員を全国約五十四万カ所の投票所に五人ずつ配置し、「警備や情報提供」に当たらせる。
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アグン・ラクソノ氏
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同時に、党傘下の婦人団体や青年団体、イスラム団体、職能団体のほか、ゴルカル党員や支持者が率いる諸団体を通じて、ゴルカル支持票を動員する。
また、約一億四千三百万人の有権者の一割を党員とすることが目標。党員数はすでに約一千万人(スハルト政権下では約三千七百万人)に達しており、「二月には目標の千四百万人に到達できるだろう。各党員が有権者を二人ずつ勧誘すれば、得票は四千−四千五百万票に達する」と述べた。
■多数議席を確保
三十二年にわたるスハルト政権下で、翼賛組織だったゴルカル(職能グループ)は、官僚機構や国軍を「集票マシーン」として利用して独裁政権を支えた。
スハルト政権の崩壊でゴルカルは党に衣替えしたが、「候補者名簿に退役軍人が多数名を連ねていることからも分かるように、軍人や官僚との個人的な結びつきは今も強い。あらゆるチャンネルを通じて可能な限り票を集める」と述べ、こうしたパイプを積極活用していく方針を示した。
多くの世論調査では、ゴルカル党の人気が闘争民主党を上回り、総選挙で第一党に返り咲くとの結果が出ている。アグン氏は「総選挙で三〇%の得票率を確保すれば、だれが大統領になるにせよ、ゴルカル党と連合を組まざるを得ない」と語り、総選挙の勝利によって政局のキャスティングボートを握ることが重要であると強調した。
■大統領候補は不人気
政党間の合従連衡は、総選挙の結果次第で流動的。ゴルカル党は、第一党となれば大統領の座を狙うが、そうでない場合は、副大統領候補を出して新政権に参加することもあり得る。
闘争民主党との連合について、「その可能性は非常に高い。共に民族主義を標榜するなど両党の間には共通点が多い。宗教をベースとする政党や連邦制を主張する政党と連合を組むのは難しい」と述べた。
ゴルカル党には七人の大統領候補がいるが、候補の一人、アクバル・タンジュン党首(国会議長)は、公金横領事件で上告中。いつ国民の批判が再燃するか分からない。
党人気は回復したが、飛び抜けた大統領候補がいない現状に、アグン氏は「ジレンマに陥っているのはゴルカル党ではなく、メガワティ氏だ。仮に彼女が再選しても、議会の支持を得られなければ、政権は容易に崩壊する」「国会の多数議席を獲得できれば、ゴルカル党から大統領が選ばれても、選ばれなくてもどちらでも構わない」と語った。