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2003年3月3日 じゃかるた新聞掲載

じゃらん・ジャクサ25時(中)

軒を連ねる安宿 出逢い求める人々
 朝、力強いコーランの放送で目が覚めた。時計を見ると、午前四時半。朝を待つ静まり返ったジャクサ通りに、すぐ近くの小さなモスクのスピーカーの音だけが響いている。
 ジャクサは検事という意味で、オランダ時代から司法関係の事務所がある通りだった。一九八〇年代から外国人旅行者向けのロスメン、カフェが増え始め、今ではジャカルタを訪れるバックパッカーの拠点となった。
 通りの周辺に十八軒のホテル、ロスメンがある。一泊二万ルピアから十四万ルピア。三百円から二千円ぐらいで泊まれる。二週間滞在なら一〇%を割り引くホテルもある。トースト、コーヒー、ナシゴレンなどの簡単な朝食をサービスする宿もある。
 東南アジアをまたにかけ、長期間、旅を続けるバックパッカーたちは、値段の安いロスメンに泊まる。ロスメンでも、部屋の広さ、エアコン付きか扇風機か、シャワー、トイレが部屋の中にあるか共同かで、値段が変わってくる。
夜のジャクサには、トウモロコシなどの屋台が集まる
夜のジャクサには、トウモロコシなどの屋台が集まる
 ロスメンは、狭い部屋に薄暗い裸電球が一つ。雨期には、雨漏りしたり、蚊が大量に発生することがある。世界中から集まるバックパッカーたちは、何食わぬ顔で泊まっているが、快適とは呼べない環境だ。
 ロスメンで旅行者と売春婦が泊まり、何日も行動を共にする姿を見かける。話相手が欲しい旅行者との間で、ビジネスが成り立つようだ。
 カフェやバーで、快活に笑いながら、男たちに誘惑の声をかける女性もいれば、通りで出逢いを求める女性もいる。
 旅行者との出逢いを求めているのは、若い女性だけではない。一度、白人の初老の婦人から声をかけられたことがあった。男性の同性愛者もいる。誘いを断ると、走って追いかけてくる女装した男性や、ロスメンに連れ込もうとする男性もいた。
 しばしの出逢いを求める彼、彼女らは、明るく、あっけらかんとしている。出逢いと別れを繰り返しながら、日一日を、精一杯楽しんで生きているようだ。
 出逢いを求める人たちは、今日もクレテック(丁子たばこ)の煙を漂わせながら、夜の通りを見回す。そして、いつもの熱帯の夜は更けていく。
 ロスメンに帰り、水のシャワーを浴びる。爽快な気分も束の間、寝ようとすると南国のじめっとした湿気が身体にまとわりつく。
 扇風機は心もとなく、蒸し暑さと蚊の羽音が寝苦しさを増す。ふと、コーランの放送が始まった。夜明けの通りに力強く響き、寝苦しさに拍車をかける。

つづく


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