ホーム | 関連記事 >>>ビザ有料化見直しを/日本政府が要求
2004年2月3日 じゃかるた新聞掲載

到着ビザ発行で混乱 ビンタン島で入国拒否
 バリでは最長2時間の行列

 有料の短期観光ビザ(到着ビザ、三日間十ドル、三十日間二十五ドル)が一日、全国の七つの空港と十二の港で実施された。ジャカルタやバリ島の空港では、日本や台湾の大使館員や航空会社の職員が待機し、案内したため大きな混乱はなかったが、バリのングラライ空港ではビザ取得だけで最長二時間かかり、長旅の末、到着した観光客はうんざりした表情。また、到着ビザを発給しないリアウ州ビンタン島の港に到着した日本人観光客ら四十五人が入国できず、シンガポールに引き返すなど、卒業旅行やゴールデンウィークの観光シーズンに向けて不安を残すスタートとなった。

■出発地へ追い返す

 一日、ビンタン島タンジュン・ピナンのフェリーターミナルに到着した日本や韓国、米国などの観光客四十五人が、到着ビザの発給施設がないことから入国を拒否され、シンガポールに引き返した。この観光客らはシンガポールに戻った後、到着ビザの発給施設のある同島タンジュン・ウバン港行きのフェリーに乗り換え、同日のうちにインドネシアに入国した。
スカルノハッタ空港の到着ビザカウンターに並ぶ観光客
スカルノハッタ空港の到着ビザカウンターに並ぶ観光客
 インドネシア・ホテル・レストラン協会によると、ビンタン島には年間約二十万人の外国人観光客が訪れる。日本の大手旅行会社JTBシンガポール支店は「マリンスポーツやゴルフでビンタン、バタムの両島を訪れる日本人観光客やシンガポールの邦人駐在員も多い。今後、日帰り客を中心に客足が鈍るのではないか」と心配している。
 在インドネシア日本大使館は、ロンボク島やジョクジャカルタなど主要観光地の空港でも到着ビザを発給していない所があり、ビザを取得せずに到着した場合、入国を拒否されるので注意が必要としている。

■平均2−4分で発給

 バリ島のングラライ空港では、一日夜の混雑時に到着した邦人が、取得まで最長二時間かかるなどの影響が出た。日系旅行会社は「事前に説明しており、お客から苦情はなかったが、長時間のフライトの後に長時間待たされたので、疲れた様子だった」と話した。
 現在、ビザは一人平均二−四分ほどで発給されているが、日本航空システム(JAL)によると、二日の東京便の乗客六十二人がビザを取得するのに一時間強かかっており、他の航空会社のフライトと重なった場合には、大混雑になることが懸念されている。
 スタッフ四−五人で乗客の応対に当たったJALの有泉信一バリ支店長は「混雑でクーラーも良く効かないため、蒸し暑く、長時間になれば気分が悪くなる人も出てくる」と心配する。

■不慣れな窓口係

 ジャカルタのスカルノハッタ空港では、午前八時ごろから入国管理局の職員約四十人が、到着ビザ発給カウンター前で観光客にビザの案内を行った。
 外国人観光客はカウンター前に約十メートルの列を作り、銀行窓口でビザ代を支払った後、隣の窓口でビザの発給を受けた。発給まで一人二−三分、待ち時間も含めると最長で二十分ほどだった。
 観光で訪れた邦人男性は「係員がまだ慣れていないようで、機械で何回もパスポートを読み込んでいて時間がかかった」と話した。また「シール式のビザがパスポートからはみ出して貼られた」など、手際の悪さを指摘する声もあった。

■日本大使館も応援

 スカルノハッタ空港では、日本や台湾の大使館員のほか、JALや中華航空の職員らが待機し、乗客の案内に追われた。
 中華航空は、支店長や現地スタッフが、乗客にビザについて説明したり、入国カードの記入を手伝うなどして対応。台湾の大使館員は「心配だったが、順調に発給できているようで安心した」と話した。 
 JALジャカルタ支店は「ビザ(査証)カウンター」と書いた手作りの看板を用意、一人一人に声を掛け、ビザ取得やバリへの乗り継ぎで混乱しないよう対応した。同支店によると、一日は約二百人の乗客のうち、百四十人ほどがジャカルタで降り、このうち約三十人が到着ビザを取得。二日は二百四十人のうち約四十人が取得した。
 一方、職員を派遣しなかった航空会社の乗客の多くが、案内などがなかったため、到着ビザを取得せずに入国審査を受けようとして、係員に注意を受ける場面もあった。

■「ビザ収入で観光促進」

 視察に訪れたイ・グデ・アルディカ文化・観光担当国務相はじゃかるた新聞に「このくらいの所要時間であれば影響はほとんどないだろう。ただ、カウンターの表示など、改善すべき点もある」と述べた。またイマン・サントソ入国管理局長は「この新たなビザ収入で観光客の受け入れ体制やサービスを強化したい」と述べ、観光促進へマイナスにはならないと強調した。

■ガルーダ機内発行は延期

 機内発給を予定していたガルーダ航空(東京便)は、準備の遅れなどから機内発給は実施されず、観光客は通常通り空港のビザカウンターで取得した。入国管理局は、機内発給サービスの準備には約一週間かかるとしている。
 また、当初、米ドルに限られたビザ代は、日本円や豪ドル、ユーロなど十二通貨で支払いが可能になり、クレジットカードでも支払いができるようになった。


2004年1月31日 じゃかるた新聞掲載

あすから到着ビザ発給 旅行会社は対策に大忙し
 混雑時は取得に数時間?

 到着ビザ(Visa on Arrival)取得を義務付けた新ビザ制度が二月一日から実施される。ビザ発給までの待ち時間や荷物のトラブルも懸念されており、バリ島の日系旅行会社などはお知らせを配ったり、スタッフを空港に派遣する体制を整えるなどの対応に追われている。
 日本航空システム(JAL)では、二月一日以降の乗客に、空港の出発カウンターで新ビザに関するお知らせを配布。インドネシアに到着する前にも、機内アナウンスで到着ビザについて説明する。
 また、東京便に限り、日本人スタッフをジャカルタのスカルノハッタ空港に派遣して対応する。ジャカルタ支店は「乗り継ぎのお客も多いので、空港内で混乱しないよう対応したい。一週間ほどは空港で様子を見たい」としている。
 同航空によると、一日は東京便、大阪便でそれぞれ約百人の観光客が搭乗する予定という。

■荷物紛失の心配も

 旅行会社にとって最大の懸念はビザ取得に時間がかかりそうなこと。ビザの発給は一人一分以内とされているが、バリのングラライ空港のラッシュ時には、短時間に千人近くが到着する時間帯もある。現状でも入国審査が終わるまで一時間ほどかかるが、ビザ発給にかかる時間を単純計算しても、空港を出るまでさらに数時間かかる、と心配する見方もある。
 このため、旅行会社大手のJTBは必要なドル札を事前に用意するよう呼び掛けている。また、同じツアーの団体客が同一行動を取れなくなる恐れもあり、出迎えスタッフを増員しホテルへの案内車を数回に分けることも検討している。
 荷物の紛失や取り違えなどのトラブルも懸念されている。日本旅行バリ駐在事務所の鈴木千春所長は「到着ビザ取得に長時間かかると、乗客の手荷物がターンテーブルから降ろされてしまう。荷物がきちんと保管されるか心配だ」と話す。

■大使館に問い合わせ殺到

 東京の在日本インドネシア大使館には、今月上旬にインドネシア政府が到着ビザの導入を正式表明して以降、問い合わせが殺到している。「ビザの料金や取得方法、政治的な背景はあるのかといった質問までさまざまの問い合わせがある」と担当者。
 また、シンガポールに在住する日本人からも、「バタム島から入国する際に提示するスマートカードを所有していても、到着ビザは必要か」との問い合わせもあるという。同大使館は、スマートカードを所有していれば、到着ビザの取得は必要はないと注意を呼び掛けている。
 一方、在インドネシア日本大使館は、日本人の空港到着時の混乱に備え、緊急電話(0811・806448)で対応する体制を整えている。 

◇到着ビザ

 新ビザ制度は、従来の無料の観光ビザ(BVKS、六十日間有効)を三十日間に短縮し、対象を四十八カ国から東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など十一カ国に限定。日本など二十カ国と一地域の観光客に対しては、新設した有料の到着ビザを発給する。
 到着ビザは、三日以内が十ドル、三十日以内が二十五ドル。ジャカルタ、バリ、メダン、スラバヤなど、国内七空港と十数港で発給する。
 到着ビザは緊急時を除き延長できないため、三十日以上の滞在を予定する場合は、事前に在外公館で観光ビザ(三十日間、日本では五千五百円)を取得し、入国後に延長手続きが必要。入国管理局の判断で最大で三十日間、計六十日間の滞在が可能となる。


2004年1月21日 じゃかるた新聞掲載

1分で発給というが…
 到着ビザ発給カウンター公開 スカルノハッタ空港

スカルノハッタ空港のビザカウンター(左手)。手前の2つは両替カウンター
スカルノハッタ空港のビザカウンター(左手)。手前の2つは両替カウンター
プリントアウトされた到着ビザ
プリントアウトされた到着ビザ
発給カウンターを視察するユスリル法相(左)
発給カウンターを視察するユスリル法相(左)
 ユスリル・イフザ・マヘンドラ法務・人権相は二十日、スカルノハッタ国際空港を訪れ、二月一日から実施される新ビザ制度の到着ビザ(Visa On Arrival)の発給カウンターなどを視察した。
 ユスリル法相は、イマン・サントソ入国管理局長の案内で、四つの窓口がある発給カウンターや隣接する両替カウンターなどを見て回った。
 同相は「ビザ問題は一九八六年から話し合われてきた。観光ビザ(BVKS)で就労する外国人が増えるなど問題が噴出していた」と改めて主張。新ビザ制度については「昨日すべての航空会社に説明した。手続きがスムーズになるよう機内でも説明してもらう」と準備が順調に進んでいることを強調した。

 記者団に二十日公開されたスカルノハッタ空港の到着ビザ発給カウンターは、入国審査の手前に設置され、全部で四つの窓口を持つ。バリのングラライ空港は現在、窓口は四つだが、八カ所まで増設される予定。
 乗客は、まずビザ発給カウンターに隣接されたバンク・ヌガラ・インドネシア(BNI)の両替カウンターで、三日以内なら十ドル、三十日以内なら二十五ドルを支払い、「到着ビザ・レシート」と書かれた証書を受け取る。
 その後、レシートと一緒にパスポートと入国カードを隣のビザ発給カウンターに提出。係員が名前や入国地などをパソコンに入力し、プリンターから出てきたシール状の到着ビザをパスポートに貼る仕組み。
 入国管理局の説明によると、発給に要する時間は約一分とされているが、外国人の名前などデータ入力に手間取ることも予想され、実際には数分かかるとみられる。
 三十日用のビザは十五日間の延長ができる見込みだが、三日用ビザの延長はできない。
 発給カウンターの数が十分とは言えない上、両替カウンターが二つしかないため、一度に数百人を乗せたジャンボ機などが到着した場合、相当の混雑が予測される。
 同局によると、到着ビザは日本のインドネシア大使館でも取得できるため、観光客は事前に取得しておいた方がスムーズに入国できそうだ。



2004年1月20日 じゃかるた新聞掲載

到着ビザ代を決定 3日10ドル、30日25ドル
 2月1日から実施へ

 政府は十九日、二月一日から実施が予定されている新ビザ制度の到着ビザ(Visa On Arrival)について、三日間で十ドル、三十日間で二十五ドルとするビザ代金を正式発表した。
 アンタラ通信によると、文化・観光担当国務相事務所で行われた新ビザ制度の導入に関する記者会見で、イ・グデ・アルディカ同国務相、ユスリル・イフザ・マヘンドラ法務・人権相、ドロジャトゥン・クントロジャクティ経済担当調整相らが明らかにした。
 ユスリル法相は「今日、メガワティ大統領が到着ビザの代金について承認した」と述べた。すでに国内十四の空港や港で、ビザ発給用窓口と、併設される銀行窓口が完成、到着ビザは一人当たり一─二分で発給可能と説明した。支払いは米ドルのみの見込み。
 ドロジャトゥン調整相は、同制度はインドネシアにとって好ましくないとの認識を示した上で、「現在の国際情勢からみて(同制度の実施は)変更しないことになった。観光業界は、一九七〇年代や八〇年代のような経済発展が目覚ましかった時代とは、もはや比べられない現実を受け入れてほしい」と説明した。しかし、「観光客が大きく減少すれば、廃止すればよい」とも述べ、近い将来、同制度を見直すこともあるとの考えを示した。

■発給に長時間の懸念も

 新ビザ制度は、従来の無料の観光ビザ(六十日間有効)を三十日に短縮し、対象を四十八カ国から東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など十一カ国に限定。日本など二十カ国と一地域の観光客に対しては、新設した有料の到着ビザを発給する。
 しかし、一時間に最大八百─千人が到着するバリやジャカルタの空港では、窓口数が十分とは言えず、ビザ発給に長時間かかるとの指摘も出ている。
 ある日系旅行会社は「一人二分といっても一番最後の人は、五─六時間後。これではスケジュールも組めない」と懸念を示した。



2004年1月3日 じゃかるた新聞掲載

2月1日に実施へ 問題の到着ビザ

 法務・人権省は二日、有料の到着ビザ(Visa On Arrival、三十日間有効)を含む新ビザ制度を、二月一日から実施する方針を発表した。同省が発表したプレスリリースによると、到着ビザ導入などの準備が完了していないとして、一カ月延期し、二月一日から実施する。
 日本など二十カ国と一地域の観光客に対して発給する到着ビザの代金設定は大蔵省の権限。同省によると、ブディオノ蔵相は三日間で十ドル、三十日間で三十ドルを検討しており、今月中には決定する見込み。同省のスカルトノ広報局長は「現在、準備を進めており、二月には実施できるだろう」と述べた。
 ビザの相互主義、財源確保などを理由に、メガワティ大統領は今年三月、新ビザ制度を導入する大統領令(二〇〇三年第一八号)に署名したが、インドネシアや各国の観光業界が反発、昨年十二月のインドネシア支援国会合(CGI)の中では、EU側から観光客減による外貨収入の落ち込みを懸念する声も出ていた。




到着ビザ有料化をめぐる2003年後半の主な記事(見出しのみ)

2003年11月29日新ビザは来年1月から ユスリル法相
2003年11月21日新ビザ来年まで延期 調整遅れ、反対意見も
 法務・人権省
2003年10月29日到着ビザは21カ国 法務人権省
2003年10月6日シンガポールも反対 12月実施の新ビザ制度
2003年9月25日「新ビザの延期を」 バリの観光業者が陳情
2003年9月20日「国の主権を守るため」 有料ビザで法相
2003年9月16日「有料ビザは来年から」 観光大臣が再度提案
2003年9月12日「有料ビザの影響なし」 ユスリル法相は強気
2003年9月11日有料ビザに一斉反発 バリ島の観光業界
 「中国との格差どうする」
2003年9月10日有料ビザ、12月から実施 日本など23カ国が有料
 料金は1人35ドルか
2003年9月9日「旅の安全」アピール 観光エキスポ閉幕
 地方の宣伝が活発化 ビザ問題に質問集中
2003年9月6日「来年まで延期すべき」 有料ビザ制度導入
 近くユドヨノ調整相と協議 アルディカ観光相
2003年9月1日「ホテルを無料にすれば」 「新制度は取り下げない」
 有料ビザ反対デモを批判 ユスリル法相
2003年8月28日「有料ビザ導入するな」 観光業者らが抗議デモ バリ島
2003年7月26日バリ観光業者が陳情 新ビザ制度施行に反対
 300人が集結 9州観光局長も協調


>>>会員ページのご案内


関連記事
ビザ有料化見直しを/日本政府が要求





ホーム | この一週間の紙面
 Copyright © PT. BINA KOMUNIKA ASIATAMA, BYSCH
 All Rights Reserved.