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ジャーナリズムの一歩を
踏み出そうとするあなたへ


 バリ島で再び爆弾テロ事件が起き、多数の犠牲者が出ました。ジャカルタ在住の、私の親しい日本人の友人二人も瀕死の重傷を負い、インドネシア人の若い妻が亡くなりました。

 世界最大のイスラム国インドネシアに潜む過激派イスラムのネットワークは、根が深く、貧富の差が大きい社会であるがゆえに、その根っこを断ち切ることは難しい。

 米国の対イラク戦争が続く限り、過激派はイスラムの大義を信じ、肉片が空に飛び散る自爆テロも辞さない。もしかしたら、インドネシアはアジアで一番、危険な国かもしれない。(じゃかるた新聞編集長・草野靖夫)

 次のような若者に期待します。

 (1) 基礎教養を身につけ、社会人と交流する能力のある27歳までの人
 (2) 英語で交渉したり、英字新聞を充分に読解できる英語力に自信のある人
 (3) 日本語の記事の書き方、マッキントッシュによる新聞編集の技術、基礎インドネシア語の三つを、短期間に、絶対、習得してやろうという強い意志のある人

 下記の連絡先に、メールや電話でご連絡ください。
 宛先はnews@jkshimbun.com じゃかるた新聞人事担当者まで。
 電話:62-21-2303830, 2302252, 2303966
 ファクス:62-21-230-3831, 2303967

■だからこそ、ジャーナリズムにこだわる若者たちに、呼びかけ

 東南アジアは、いま再び、大きく変わりつつあります。
 一九九〇年代前半の高度成長期に続く九七ー九八年のアジア通貨危機で、権威主義的な政治体制が崩れ、より開放的で自由な社会が形成されたインドネシアでは、巨大な国内市場と豊富な労働力、未開発の資源に着目した海外からの新しい投資が動き出しました。
 独立後初の大統領選挙で選ばれ、元軍人だが、文民を重用するユドヨノ大統領の政権も二年目。スマトラ沖地震・津波による大災害、原油高に伴うミニ経済危機、アチェ内戦、バリ島テロ事件などの難題に直面しながら、日本はもちろん、中国、米国、豪州、東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係を深めながら、かつての指導的な地位を取り戻そうとする外交努力も少しずつ成果を上げています。
 激動から変革期に入ったインドネシアを拠点に、アジアを理解し、アジアを考える絶好のチャンス。ニュース現場に飛んで、政治や経済や社会の記事を書き、インドネシア語と英語を学び、赤道直下の国から日本の進路や日本人の生き方、単独行動主義の米国や覇権主義の中国、高度成長を目指すインドなどの大国の動きを観察する「アジア社会部記者」「アジア政治部記者」「アジア経済部記者」を目指す人材をじゃかるた新聞は求めています。
 空前の消費ブームと西欧化で急速に変わる都市の姿と人々の暮らし、格差が広がる都市と農村、貧困層の激増と環境破壊、伝統社会の崩壊、揺れ動く人々の心理、新しい映画や音楽などの芸術活動、マスメディアの多様化など、社会や文化面での劇的な変化は、ジャーナリストを目指す若者には、魅力的なテーマがあふれています。
 オランダの植民地支配と日本の軍事支配に抵抗したジャワ人やアチェ人など、インドネシアの独立と国家形成のために闘った独立前史。世界の反植民地運動をリードし、冷戦時代を巧みにくぐり抜け、分裂寸前の危機を乗り越え、国家と領土を維持し続けてきた独立六十年史。いずれも、正義と利権と権力のために、インドネシア人が挑んだ血みどろの人間ドラマの現代史。
 その延長にある「民主化時代の過渡期」のインドネシアの首都ジャカルタに、長期または短期に定住し、人間くさいニュースを掘り起こしてもらいたいのです。
 独立の父・スカルノ、開発の父・スハルト、民主化への橋渡し役・ハビビ、イスラム啓蒙指導者・ワヒド、七光りの女帝・メガワティ、軍人上がりのテクノクラート・ユドヨノと続く六つの政権に脈々と流れるインドネシア人の民族意識、宗教や文明に対する考え、世界観などを知り、日本や米国との関係、対ASEAN外交など、東南アジアの大国が目指している国際政治の課題に取り組んでもらいます。
 経済の面では、例えば、日本の自動車・二輪車やエレクトロニクス産業の世界戦略拠点になったインドネシアの日系企業や、その世界戦略を支えるため技術や人材とともにインドネシアへ進出してきた日本の中小企業(SME)の活動。戦後賠償以来、連綿と続く、政府開発援助(ODA)、草の根支援、技術移転や教育支援など日本政府がいまなお援助を惜しみなくつぎ込んでいるインドネシアと日本の関係−などを日々、取材します。
 そして、インドネシアライフを楽しく、豊かに過ごすための情報。
 「じゃかるた新聞に載っていたよ」「じゃかるた新聞に聞いてみたら」−インドネシアに定住している邦人の間で、こんな会話が交わされる機会が多くなりました。
 政治や経済の硬派のニュースだけでなく、バリ島やジョクジャカルタの情報、バティック、ガムラン、ワヤン、クロンチョン、映画といったインドネシアの文化・芸術、旅や読書や音楽会などの娯楽、買い物から求人までの生活情報、日本人学校の活動から県人会、同窓会、クラブ活動などのニュースを満載し、インドネシアに住む邦人や旅行者にとって便利な情報を毎日、掲載します。
 西はアチェ特別州から東はパプア州までの都市部を中心に活躍する日本人は約二万人います。バリ島には日本人だけで年間約四十万人近い観光客が訪れ、ジャカルタでは、約一千社の日系企業や商店が軒を並べています。
 七年前、じゃかるた新聞は「アジアで活躍する日本人のためのサロン」を看板に掲げて発刊しました。今、時代の変化を先取りし、人事の一新と紙面の質をさらに向上させるため、「アジア特派員」を目指す若者たちの、参加を求めます。

■じゃかるた新聞の7年

 じゃかるた新聞は、32年間にわたり独裁政治を敷いたスハルト政権が崩壊した直後の1998年11月16日、インドネシアで発行される最初の外国語の新聞(当初は日本語と英語)として、インドネシア情報省の認可を得て発刊されました。
 アジア通貨危機と国内の政治危機を背景に、反政府デモが続く首都ジャカルタをベースに「アジアの現場から世界へ」をモットーに、西はアチェ特別州から東はパプア州までをカバーするインドネシア最大の日本語メディアに発展しました。
 スハルト政権が崩壊するまでは、外国メディアは取材が規制され、外国語の新聞発行は一切、認められませんでしたが、じゃかるた新聞は、インドネシアで日本人記者が自由に取材し、印刷し、販売できる唯一の外国語の新聞として認可されました。
 元駐日インドネシア大使、プルタミナやインドネシア銀行(中銀)の元幹部も経営に参加。当時のユヌス情報相は「民主化時代のインドネシアと日本の新たな友好関係を樹立するため、質の高い新聞に発展させてほしい」と語り、じゃかるた新聞の発足を激励してくれました。

■じゃかるた新聞の編集方針

 こうした背景から編集方針として、次の四つを掲げています。
■日系企業と在留邦人に良質のインドネシア情報を提供し、安全で楽しいインドネシア生活を過ごしてもらうための啓発的なコミュニティ紙を目指す。
■日本政府、日系企業、投資家、観光客、研究者、援助団体、非政府組織(NGO)など、インドネシアにかかわる日本人が、インドネシア情報を、速く、的確に把握できる分析的な速報メディアとする。
■民主化、国際化、経済再建を進めるインドネシアのニュースを、国際情勢を踏まえた視点で取材、分析し、電子メディアも利用し、日本の読者も巻き込んだ二国間メディアに発展させる。
■インドネシアのニュースを報道し、広告やデザインの仕事をしながら、インドネシアの知識人や日本の駐在員と交流を深めて、アジアに詳しいジャーナリストを育てる。
■じゃかるた新聞で長期、短期の研修を受けたり、記者活動を経験した後、帰国して日本の新聞社や通信社に就職した記者や営業マンが数多くいます。就職先は毎日新聞、読売新聞、産経新聞、共同通信、東京デイリースポーツ、三菱商事、日本大使館、国際協力機構(JICA)などです。

■じゃかるた新聞の読者層

 じゃかるた新聞を定期的にご購読いただいている読者や企業は、次の通りです。
 ジャカルタ首都圏は印刷所から直接、新聞少年が各戸へ配達し、日本は国際航空便、地方都市は国内航空便で、毎日、お届けしています。無料、有料のホームページもあります。
 首都ジャカルタをはじめバンドン、ボゴール、スラバヤ、バタム島、バリ島、ジョクジャカルタ、スマラン、メダン、マカッサルなど地方都市に展開する日系企業の事務所、工場、駐在員の自宅。
 ジャカルタの日本大使館、スラバヤ、デンパサール、メダン、マカッサルの日本総領事館、ジェトロ、国際協力機構(JICA)、国際交流基金など日本政府機関。
 日本政府や企業から派遣されている専門家、日本人学校の先生やご家族の自宅。ジャパンクラブ(JJC)、中小企業連合会(SME)、日本商工会議所に加盟する上場企業約350社と約1000社の関連企業の工場や事務所。
 ジャカルタ首都圏、バンドン、バタム島、スラバヤの工業団地の日系企業の駐在員や旅行者のオアシスである日本食レストラン、バーなどサービス業の拠点。
 日本人旅行者、出張者、長期滞在者が宿泊するホテルとその売店、空港売店、日本食品店、スーパー・マーケット。
 ジャカルタにあるインドネシア国立図書館、元日本留学生が創立したプルサダ大学図書館、国営インドネシア放送、ジャパンクラブ図書館、国際交流基金ジャカルタ文化センター図書館。
 インドネシアの図書館や日本語を教える大学や日本語学校。東京や大阪にある国立国会図書館、日本ASEANセンター、日本インドネシア経済協会、商社、銀行、新聞社、企業のアジア担当部局、大学、政府の調査・研究機関など。
タムリン通り
じゃかるた新聞があるジャカルタのメインストリート・タムリン通り
ムナラ・タムリン・ビル
オフィスが入居するムナラ・タムリン・ビル
じゃかるた新聞社内
オフィス内。厳しいけど楽しい仕事場です