二十五日にインドネシアで初めて鳥インフルエンザの発生が確認されたことを受け、政府のこれまでの対応の遅れに各界から批判が上がっている。二十六日付の地元紙は、専門家らの話として「鶏肉業界からの圧力で意図的に感染情報を隠ぺいした」と政府を批判。国会も問題を徹底追及する方針を示している。一方、バリ島では二十六日、養鶏所の鶏数千羽が焼却処分にされ、本格的な感染防止策が取られ始めた。インドネシアは、今冬、アジアで鳥インフルエンザが確認された国としては七番目となり、国民の健康管理だけでなく、食品、観光業への経済的打撃も避けられそうにない。
農業省はこれまでに、鶏の大量死は昨年八月二十九日、中部ジャワ州プカロンガンで初めて確認され、九月から十一月にかけて、ジャワ、バリ両島などに拡大したことを認めている。
その後の五カ月間で、全国十州にある養鶏場四百軒以上の鶏四百七十万羽が死亡、うち四割が鳥インフルエンザとニューカッスル病の混合ウイルスに感染して死亡した。
国内で発見された鳥インフルエンザウイルスが、ベトナムとタイで感染死者を出すなど猛威を振るっている「H5N1」かどうかは不明だが、農業省によると、ウイルスのサンプルはすでに豪州の研究所に送付され、二、三日後に結果が判明する見通し。
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鳥インフルエンザ感染拡大の恐れが高まる東ジャワ州ジュンブルの養鶏場
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■情報公開の徹底を
これら政府の対応に対し、専門家は「昨年末には鳥インフルエンザはすでに確認されていたにもかかわらず、政府は問題を放置していた」として、情報公開の遅れに対する批判を強めている。
国会のムハイミン・イスカンダル副議長(民族覚醒党)は二十六日、「政府は鳥インフルエンザに関する情報公開を徹底するべきだ。国民は病気を恐れ、鶏肉を食べることもできない」と述べ、感染経路などを早急に解明すべきと主張した。
■「人の感染はなし」
東ジャワ州スラバヤを訪問中のソフヤン・スダルジャット農業省畜産育成総局長は同日、インドネシア国内でこれまでに、鳥インフルエンザに感染した人は報告されていないと明らかにした。
今後の対応策については「ジャカルタ首都圏、西ジャワ州、中部ジャワ州、東ジャワ州、バリ州、リアウ島嶼州にまず専門家を派遣し、養鶏業者の血液検査を行う」と述べた。