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活火山バトゥール山の山頂で日の出を眺める観光客
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午前三時半に起きて、バトゥール山(標高千七百十二メートル)に登った。
懐中電灯と三脚を片手に登ること二時間。満天の星空が次第に白み始め、東の空が薄オレンジに輝き出したころ、ようやく山頂にたどり着いた。
正面に聖峰アグン山とアバン山、遠く雲海の上にはロンボク島のリンジャニ山(三千七百二十六メートル)も浮かんで見える。
山頂にはすでに五人ほどの欧米人観光客がいた。観光シーズンには毎日三十人ほどの外国人が日の出を眺めに来る。日の出の瞬間、皆、カメラを取り出し、記念撮影。
現在も活発な火山活動を続けるバトゥール山への登山には、インドネシア観光業者組合から認定された山岳ガイドが同伴する。
四年前には、ガイドなしで登ったドイツ人観光客が危険区域に入り込み、噴火に巻き込まれて亡くなる事故も起きている。
この日登山に同行してくれたのはガイド見習い中の通称エロス君(二四)。厳重装備の欧米人とは対照的に、素足にビーチサンダルの格好ですたすた登る。
山頂に一軒あるワルン(屋台)のお兄さんも、通い慣れた「通勤路」を、水やバナナを背負ってあっという間に抜かしていった。