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[特集] 2001年2月6日本紙掲載
バリ島「あちゃら」発刊
個性派向けの情報誌
足で集めたナマ情報
旅愛する若者が編集
年間三十六万人、一日平均千人もの日本人が訪れるようになったバリ島。その魅力にひかれ、バリで十年近く観光の仕事を続けてきた五十嵐欣也さん(三三)が、このほど、かわいらしい日本語情報誌「あちゃら」(ACARA、無料)を発刊し、バリの観光客の人気になっている。(2001年2月6日じゃかるた新聞掲載)
創刊3号を迎えた「あちゃら」はバリ島だけでなくジャカルタの日本食レストランでも無料配布されている
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これまでのバリ情報誌と違い、足で取材し、足で書くという徹底した現場主義を貫き、観光、食事、ショッピング、遊び、アナ場案内など、五十嵐さんら三人の若い編集者が集めたナマの情報がぎっしり詰まっている。
最近号の「とっておきのバリ」特集は、ジャワ王族の食事を提供する「アヨディアレストラン」、バリ島南岸のクルーズ、女性向けのマッサージ・サロンなどを、実際に食べたり、遊んだりした記者の体験記の形で紹介している。
特典クーポン
グルメ、珍しい宿、おみやげ店、面白い商品・雑貨、新しい店、日本語の地図や観光客に便利な情報を満載。特典クーポンが付いた約七十軒に上るさまざまなお店の紹介コーナーが好評だ。
試しに「あちゃら」を持って、サヌールの日本レストラン「喜多」を訪れると、特典クーポンのおかげで、ビール一杯をサービスしてくれた。
青山学院で経済を学んだ五十嵐さんは日本の旅行会社のバリ駐在員として一九九一年から九九年まで働いた。関西空港が開港した九四年、日本人観光客が激増、日航やガルーダ航空の百人単位の客を、一手に引き受ける多忙な時期を経験した。仕事は忙しいが、収入も大きい、バリ観光の黄金時代だった。
個性ある旅
だが、通貨危機を経て、バリの観光は分岐点に立っている。バロンダンスとケチャを組み合わせ、キンタマーニ高原やブサキ寺院を往復するだけのお仕着せ旅行に納得しない旅行者が増えたのだ。
「彼らは代理店を通さず、切符だけ買って、バリ島を訪れます。インターネットで情報を入手し、直接、ホテルやお土産店と交渉する。観光ガイドはいらない。買い物から遊びまで、自分で情報を集め、個性ある旅を楽しむ人たちです」と五十嵐さんは分析する。
そうした新しいタイプの旅行者が、全体の三分の一近くを占めるようになったと五十嵐さんは推定する。こうした旅行者の要望に応えるために、五十嵐さんは「あちゃら」の創刊を決断した。
左から安田さん、五十嵐さん、久住さん=デンパサールにあるオフィスで
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バリの魅力知る
幸い二人の協力者がいた。京都精華大学で彫刻を学んだ安田美帆さん(三一)は学生時代からバリの大ファン。クタビーチで真っ黒に日焼けした青春期を過ごし、九五年から五十嵐さんの部下として旅行会社に勤務。バリの楽しさをだれよりも知り尽くしている。
関西外大の英米科を出た久住裕華さん(二三)は、高校時代に米国留学したが、安田さんと同様バリに魅せられた旅行者の一人だ。
五十嵐さんが企画し、広告集めや宣伝、取材もする。安田さんは記事を書き、レイアウトを担当。久住さんもレイアウトやデザインを担当する。
ホームページも
デンパサールの日本領事館に近い、緑がいっぱいの官庁街のオフィスにコンピューター三台を設置、活動の拠点を築いた。五十嵐さんが旅行会社で働いて得た資金の一部を投じて設立した小さな出版社だが、最近、ホームページも開設(http: //www. acara-bali.com)。年間三十六万人を超える日本の観光客をターゲットに、大きなメディアに育てあげようとしている。
バッグに入る
「従来のガイドブックのような、簡単な歴史とか観光地の紹介といった情報と違い、新鮮で便利、持ちやすく、楽しい雑誌を目指しました。女性のハンドバッグに入る大きさです。写真はプロの写真家に依頼しています。バリ観光の情報誌としては最も良質だと思います」と安田さんは自信満々だ。
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