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2004年1月27日 じゃかるた新聞掲載

朝夕「3イン1」始動 びっくり厳重チェック
 罰金は最高100万ルピア 規制逃れに知恵しぼる

 朝夕に拡大された新「3イン1規制」の取り締まりが二十六日、一斉に始まった。警察は規制区域の入口付近に検問所を設け、車の中を点検するなどテロ対策なみの厳しい規制。初日から違反切符を切られ、免許証を取り上げられた車が続出した。罰金は当初の最高千二百万ルピアから同百万ルピアに下がったが、通勤やビジネスに支障が出てはかなわない。警察の出方に半信半疑だった日系企業を含む規制区域内の企業は「乗り合い出勤」「裏口出社」「替え玉乗車」「時間差出勤」などの対応策で、前代未聞の交通規制を乗り切る構えだ。厳しい検問のせいか、夕方の目抜き通りはバスレーン同様流れはスムーズ。元ジャカルタ軍管区司令官のスティヨソ・ジャカルタ特別州知事も自信を深め、非難ごうごうの交通政策をジャカルタ名物に仕立てる意気込みだ。

■検問所はここだ

 ジャカルタ警視庁によると、この日検問所を設けたのは、ガトットスブロト通りとラスナサイド通りの交差点、ガジャマダ通り、スディルマン通りのスマンギ交差点やスナヤン競技場付近、大統領宮殿前など十数カ所で、「当面は同じ地点でチェックする」(報道官)という。検問所以外にも、白バイが巡回し摘発するケースもあった。

■違反切符で免許証没収

 大統領宮殿に近いメダン・ムルデカ・バラット通りでは、十数人の警官が手を挙げて車を徐行させ、フィルムが貼ってある車は窓を開けさせるなど、しらみつぶしにチェック。
検問所で違反切符を受け取る市民。西ジャカルタ・グロドックで。
検問所で違反切符を受け取る市民。西ジャカルタ・グロドックで。
 検挙されたドライバーは五枚綴じの違反切符にサインをさせられ、免許証を没収された。警官によると、後日、裁判所に出頭し、簡易裁判で罰金刑に処せられる。罰金は最高百万ルピア。
 セダンに二人で乗っていた会社員のヒダヤットさん(三五)は「急いでいたので夕方の実施をすっかり忘れていた」と肩を落とした。
 警視庁によると、初日は午前七時から同十時までの取り締まりで百八十四件、午後四時から同七時までに数百件の違反が摘発された。
 新しく規制対象になったコタ方面では検問所に五、六台の車が列をなし、違反切符を受け取るために並ぶ光景も見られた。

■知事は渋滞緩和に自信

 この朝、検問状況を視察し、バスレーンに乗って登庁するパフォーマンスを見せたスティヨソ知事は「新規制がきちんと守られれば渋滞は起こらない。以前、視察したバンコクやマニラの渋滞はもっとひどかった」と述べ、3イン1効果でジャカルタの交通を一変させると豪語。その言葉通り、夕方の目抜き通りは、スディルマン通りの一部を除き、ガラガラになった。

■VIPには警備員

 「毎朝、警備員が自宅へ迎えに行き、帰宅時は規制区域外まで同乗させる」のはバンク・インターナショナル・インドネシア(BII)。ただし対象は役員のみ。VIPをテロから守る警備も兼ねて、当分、この手で乗り切るという。
 日系企業は、同僚やお手伝いさんとの相乗りや、遠回りを覚悟で裏道を利用する会社がほとんど。夕方は、帰宅時間をずらしたり、スタッフをもう一人乗せる対応を取っている。

■ビル会社も知恵しぼる

 共栄プリンスビルは隣のビルの裏門を開放してもらい、入居者が裏道から出社できるよう便宜を図った。それでも共栄プリンスの正門までは、約十メートルほど規制区域を通過するため、ビルの職員が道路に立ち、警官がいる場合は、にわかジョッキー役(数合わせの乗員)を務めるという。
3イン1規制の検問場所
3イン1規制の検問場所
 中には、当局が厳しい検問を続けた場合、「お客様の便宜を考えてジョッキーを雇うことも検討する」というビル会社もあった。
 スミットマスビルは、これまでなかったタクシー専用乗り場を設けた。「三人以下で外出する際、規制対象外であるタクシーを利用できるよう準備した」としている。

■日本食店の客足に影響

 夕方の規制で帰宅時間をずらした邦人が増えたせいで、ブロックMやスディルマン通りの日本食レストランは、「ご来店の時間が少しずれ込んでいる」という。 
 いつもなら開店早々、店が動き出すのだが、この日の客足はぱったり。ある日本食店のオーナーは「お客の回転率がかなり落ちるのではないか」と心配そうだった。

■車持たない人は賛成

 一方、市民には賛成派も少なくないようだ。中央ジャカルタの両替商(三二)は「われわれ庶民はオートバイやバスを使うので影響はない。富裕層には問題だろうが、交通量も減っている」と肯定的な意見。
 タクシー運転手(四八)は「マイカー族がタクシーに乗り換えるとも思えないので、収入は変わらないだろうが、主要道路が走りやすくなるのはいいこと」。毎朝、電車で通勤しているという女性は「3イン1制度が始まって電車が満員になった」と話した。



2003年12月24日 じゃかるた新聞掲載

3イン1制は朝夕実施 1カ月間はテスト期間
 混雑さらに悪化の懸念 ジャカルタ特別州

 スティヨソ・ジャカルタ特別州知事は二十三日、中央ジャカルタのホテルで記者会見を行い、3イン1制度(都心への車両流入規制)を午前七時−同十時、午後四時−同七時の朝夕二回に拡大する州知事令に署名し、同日から施行したと正式に発表した。施行後三十日間はテスト期間のため罰則はないが、一月二十三日からは、違反者に対し、最高禁固一年または罰金千二百万ルピアが科せられる。バスレーンと組み合わせたジャカルタの新交通規制は、反対の声も強く、朝夕のラッシュがさらに悪化するばかりか、ビジネスや通勤の車が規則を守るのは困難だ。実態が伴わない法規制に市民がどう対処するのか注目される。
 3イン1制度の時間拡大は当初、(1)午前六時半−同十時半と午後四時−同八時、(2)午前六時半−午後八時の二案があったが、スティヨソ知事は「通勤通学者に配慮し、午前七時から規制することにした。午前十時から午後四時までは経済活動への影響を考慮し、規制を見送った」と説明。夕方の規制を、当初より一時間繰り上げて午後七時までにしたことについては「会合やパーティーに出席するビジネスマンに配慮した」と語った。

■ナンバー規制は来年半ば

 このほか、州知事令は、従来のスディルマン、タムリン、ガトット・スブロトの各通り以外に、青年の像と最高検前を結ぶシシンガマンガラジャ通りも同制度の対象区域にすると規定。同制度の適用日は、これまで通り土日と祝祭日を除く平日で、二輪車とタクシーなどの公共車両は適用外となった。
着々と建設が進むサリナ前のバス停
着々と建設が進むサリナ前のバス停
 ナンバープレートの数字を元に車の乗り入れを規制するナンバー制については、来年半ばの導入を目指すとしている。

■30日間は警告のみ

 記者会見に同席したジャカルタ警視庁のスリスティヨ交通局長は、3イン1制度の罰則について、テスト期間中は警告のみにとどめるが、一月二十三日以降は、道路交通法、3イン1制度に関する州条例に則り、違反者に禁固一月−一年または罰金百万−千二百万ルピアを科すと発表した。
 スリスティヨ局長は「ジョッキー(3イン1のための数合わせ)やカキリマ(移動屋台)、路上駐車などの取り締まりを強化し、交通渋滞緩和に努める。また、標識や垂れ幕を設置して広報にも力を入れたい」と語った。

■バスレーンも予定通り

 一方、建設作業が大詰めを迎えているバスレーン事業について、スティヨソ知事は「渋滞悪化などの多少の犠牲は、新たな事業を起こす際に避けることができない。限界に達した首都交通を改革すべき時期だということに気付いてほしい」と述べ、予定通り一月十五日からの実施を目指す方針を示唆した。

■知事の交通構想

 スティヨソ知事は、過去四十年間、有効な首都交通改革が行われず、バスの老朽化、ドライバーや歩行者のマナー不足、バス会社の不透明な運営が続いた結果、自家用車を利用する市民の増加、渋滞や大気汚染が悪化し、首都の社会環境の低下を招いたと指摘。
 首都交通の改革のためには、首都を南北に結ぶ地下鉄や東西を結ぶモノレール、河川を利用した水上交通などに加え、二〇一〇年までに十四区間を設置するバスレーン(総延長百五十九キロ)を取り入れた「新首都交通システム」の導入が不可欠だと強調した。




3イン1をめぐる2004年1月の主な記事(見出しのみ)

2004年1月29日「企業活動へ配慮を」 3イン1改善を知事に要望
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2004年1月29日透過率70%以上に 車窓フィルム規制
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2004年1月28日初日に1092人検挙 3イン1取り締まり
2004年1月26日きょうから一斉取締り いよいよ3イン1制度 罰金は最高1200万ルピア
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