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2002年4月29日 じゃかるた新聞掲載

海龍サンゴ礁の海 (3)褐色藻の多大な役割
 エネルギーの8割依存
 前回、生きているサンゴは通常、白色でなく、薄茶色であるということを書いたが、なんで薄茶色なんだろうか?
 答えを先に言ってしまおう。サンゴの体の中に大量の「褐色藻」と呼ばれる藻が住み着いており、これがその名の通りの色なので、薄茶色に見えるのである。

■「共生」以上の関係

 サンゴと褐色藻の関係はいわゆる「共生」なのだが、なんだかそれ以上の関係のようにも思える。
 まず、サンゴは褐色藻が体内にいることでどんな利益を受けているのかと言うと、それは後述する通り、多大な利益であり、「褐色藻さまさま」なのである。
 日本の巨大製造業者と、系列でがんじがらめにされた下請業者の関係に似ている。なにせ、必要とするエネルギー(受注額?)の八割方を褐色藻(親会社?)から受け取っているのである。もちろん、自前でエネルギーを生産することも可能だし、やってはいるのだが、依存体制は強固であり、「親元こけたら皆こけた!」って、なり易いところなど、そっくりである。
サンゴのポリーフ
触手を広げたサンゴのポリーフのアップ。イソギンチャクに似ているのが良く分かる
 サンゴの本来の主食は、海中にいる動物プランクトンである。サンゴ虫は触手を伸ばしてこれらを捕獲するのであり、その様は、大きさこそ違うがイソギンチャクに似ている。これも実は当たり前で、サンゴとイソギンチャクは非常に近い親せき、言ってみれば、いとこぐらいの関係なのだから。 
 サンゴは褐色藻がきちんと働いてくれる限り、自前の生産活動を行わなくても、かなり長い間生存することが可能である。褐色藻はチンピラで、サンゴが大親分と思っていただいても良い。
 実は、以前書いたサンゴ礁が形成される三大条件って言うのは、この褐色藻の最適生存条件なのだ。
 ちょっと、おさらいしてみよう。三大条件とは(1)水温が18.5℃以下にならないこと(2)水深が40メートル以下の浅い海であること(3)水が透明であること−であった。

■光合成に必要な光

 勘の良い人は、もうお気付きだろう。三条件は温度と光に関係し、もっと極端に言えば、光にのみ関係しているのである。
 褐色藻は植物なので、光合成を行い、グリコーゲンを生産している。生産されたグリコーゲンのなんと九割を排出してしまうのだ。これがサンゴのエネルギー源となっているのだが、「光合成」がキーワード。いくら褐色藻があっても、光合成をしてくれなければ、サンゴにとっては何の意味もない。
 水は光を拡散させる。飲料水のようにきれいな水であったとしても、100メートルも通過させれば、熱帯のギンギラギンのあの太陽光でさえ、ろうそく一本相当の光量にまで減光してしまう。要は、海の中は暗いのである。ちなみに現代の原子力潜水艦の巡航深度である300メートルは、完全な暗闇だそうだ。

■半端でない必要光量

 褐色藻が必要とする光の量は中途半端ではない。水槽でサンゴを飼育しようと試みる、そこまで大げさでなくても、海水魚の水槽に飾りで生きているサンゴを入れると、サンゴはせいぜい一カ月で死んでしまう。これは、通常の家庭用の水槽での照明光では光量が全然足りないためだ。
 40メートルの深度とは、必要な光の量が生息地である海底まで届く上限と言うわけだ。ただし、これは水が非常にきれいである、すなわち透明度が高いという前提である。
 水の透明度というのは、水中の浮遊物の多寡で決まる。浮遊物には動植物プランクトン、河川からの流入物、海底構成物質(砂、泥など)の舞い上がり、ごみなどが含まれる。
 プラウ・スリブ辺りでサンゴ礁が一番きれいなのは水深5−10メートルであるが、豪州グレート・バリアリーフのアウターリーフ辺りまで行くと、20メートル近くでも、プラウ・スリブの5−10メートルと同様の風景にお目にかかることがある。
 前回シリーズでお話したスンダ海峡の沈船「ヒューストン」など、最深部は30メートル程度なのだが、真昼間から完全なナイト・ダイブ状態である。これほど、透明度が明るさに与える影響は大きいものなのだ。
 さて、最後になったが、水温の条件が残っている。

■低温、高温ともダメ

 この条件に関しては、サンゴ虫そのものか褐色藻なのかは良く分からないが、筆者はその両方だと思っている。早い話が、両方とも暖かいのが好きなのだ。
マニアのサンゴ水槽
ある超マニアの方のサンゴ水槽。この中ではサンゴも成長できるが、これは水温管理用の冷暖房設備、特殊照明器具1600W付きという、オーナーの尋常ならぬテイクケア体制で維持されている。生半可な覚悟では手が出せない…
 日本におけるサンゴの生息北限は房総半島辺りであったと記憶している。これは沖合いを流れる黒潮(暖流)のおかげだが、「生息が確認された」という程度の存在である。暖かい所が好きなので、寒流の流れる一帯はダメである。
 水温に関して重要なのは、最低温度だけではなく、実は高温も問題があるということだ。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、日本で熱帯魚を飼育すると水槽にヒーターを設置する必要があるが、当地で本格的な熱帯魚水槽をと考えると、逆にクーラーを設置する必要があることを知っている人は意外と少ないであろう。
 熱帯の海の表面温度は常に28℃から30℃である。インナーリーフの浅瀬などはぬるま湯状態となり、さすがにこれは魚たちにもあまりうれしい状態ではないらしく、ぬるま湯状態の所にはあまり魚もいない。
 深度が下がると水温も下がるのだが、10メートルでせいぜい1−2℃程度である。熱帯の海の生物にとっては、大まかに言うと、26℃前後がどうも最適温度であるらしい。もちろん種族によって差は大きいのだが。

■サンゴの白化現象

 さて、褐色藻であるが、これが意外に高温に弱い。 平均水温が30℃にでもなろうものなら、さっさと引越し(?)もしくは死んでしまう。褐色藻がいなくなると、サンゴは石灰質の本来の色である「白」に戻る。これが、最近、よく耳にする「白化現象」なのである。
 白化現象はサンゴに限らず、いとこのイソギンチャクにも発生する。イソギンチャクもこの一族の例に漏れず、褐色藻のお世話になっているのだ。
 白いイソギンチャクの中に赤いクマノミが入った写真を良く見かける。非常に色合いがきれいで、かわいらしくって、筆者も好きな構図ではあるが、あのイソギンチャク君は、子分に逃げられアガリが入ってこなくなったやくざの親分同様、大ピンチ状態なのである。 (つづく

海龍亭

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