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2007年12月11日 じゃかるた新聞掲載

マンション特集(3)
「街」を丸ごと開発  「億ション」も登場

512平米のユニットも含む、若々しさとダイナミックさが売りのリッツのモデルルーム
512平米のユニットも含む、若々しさとダイナミックさが売りのリッツのモデルルーム
個性的でシックなエンパイアは都会的な雰囲気
個性的でシックなエンパイアは都会的な雰囲気
 不動産開発の進むジャカルタで、最も広い部屋で五百十二平米(五ベッドルーム)を計画、敷地内に病院や学校を併設するなど大規模な高級マンション群を擁する「クマン・ビレッジ」の開発が始まった。
 外国人が多く住む南ジャカルタ・クマンでこの超大型開発を手掛けるのは、国内不動産大手のリッポー・グループ。同グループでクマン・ビレッジを担当するジェシカ・クアンテロ氏は「ターゲットは高所得者層。病院、学校、ショッピングモール、カフェ、レストラン、ジョギングコースなどを併設、敷地外に出なくても生活できるようにする」とコンセプトを説明。「一つの街」を作るというイメージだ。
 将来的には「クマン・ビレッジ」内に計七つのタワーを完成させる見通しで、現在は第一期工事として「リッツ」「エンパイア」「コスモポリタン」の三タワーを建設中。入居者への引き渡しは、二〇〇九年に行われる見通し。値段は、最も大きな面積となるリッツの五百十二平米のユニットの販売価格が百三十一億六千七百五十九万二千八百四十四ルピア(約一億五千五百万円)とまさに「億ション」。
 三つのタワーは、それぞれコンセプトが異なり、「リッツ」は若々しさとダイナミックさ、「エンパイア」は個性的でシックなデザイン、「コスモポリタン」はファッショナブルさを演出している。
 各タワーとも壁前面を切り取ったような大きなガラス窓をリビングルームに備え、バスルームもガラス張り、部屋ごとの仕切りもあまり作らず、開放的な若々しい雰囲気。また、リビングのすぐ横に備えられたテラスは、リビングとの間の段差がほとんどなく一体感が味わえるデザインだ。
 キッチンはシステムキッチンで収納が多く、キッチンの横に備えるオーブン、電子レンジなどはオプションで選択できるほか、大きなワインセラーも希望により設置できる。またメードのための部屋もシャワー、トイレ、ベッドが完備。
 同社のジェニー・ウルー氏は「当然ながら、外国人の入居も見込んでいる。最近では、韓国人ビジネスマンなどと契約してきた実績がある」と語り、国際的な環境作りを進めていると強調した。建設予定の学校は、小学校から高校までのインターナショナル・スクールになる予定だという。
 マンションは現在建設中だが、クマンにある事務所兼モデルルームを見学することができる。ターゲットが富裕層と言うだけあり、モデルルームには高級車が展示され、華人系の家族、外国人ビジネスマンのカップルなどが訪れていた。外国人の多いクマンのにぎやかな界隈に立地するガラス張りの事務所兼モデルルームは明るく、カフェも併設されており、フロアーではくつろいだ雰囲気で説明を受ける人々の姿が見えた。

コスからマンションへ 学生のライフスタイルに変化

 入り口を入ると「これは大学のキャンパスか」と錯覚するほど。大学生たちがおしゃべりに興じ、散歩を楽しむ。中央ジャカルタ・スティアブディのスディルマン・パークは、目の前がロンドン・スクール・オブ・パブリック・リレーションズ大学。大学生はこれまで、下宿としてコス(寮)から大学に通うのが定番だったが、コンパクトな間取りで、中・上流階級の大学生なら簡単に手の届くマンションが増えている。小さめのマンションは、中・上流階級の若者たちだけでなく、外国人にも人気だ。
 部屋はコンパクトだが清潔。ダイニング、キッチンとベッドルームが二つ、シャワールームだけの簡素な作りだ。日本の大学生が下宿する、小さめのアパートという風情。邦人をはじめ外国人が住む豪華なマンションのイメージからはほど遠い。
 部屋に案内してくれたのは、以前、記者と同じコスに住んでいた、同大三年の東ジャワ州スラバヤ市出身のファウスティンさん(二〇)。コスに住んでいた時に、友人たちとシェアすれば十分マンションに手が届くことを知り、働いている友人を誘い、できたばかりのB棟(四十六階建て)に今年四月に引っ越した。
 しかし、大学生程度の収入でマンションに住めるのだろうか? ファウスティンさんによると、マンションの家賃は月額五百万ルピア(約六万五千円)、電気代、水道料が四十万─六十万ルピア(約五千二百─八千円)。
 友人とシェアしているので、支払いは約二百七十万ルピアほどだ。家賃はエアコン、テレビなど家具付きの値段で、家具を持ち込めば三百五十万─四百万ルピアで済む。
 ファウスティンさんの収入は親からの仕送りと家庭教師のアルバイトで月四百六十万ルピア。半分以上が家賃に消える。「でも学校には歩いて行けるし、食事は下の食堂でケータリングを取れば一日一万五千ルピアで済む。土日はクラブにも行けるよ」と「ゴージャスなマンション生活」を満喫している様子。
 マンションにはサウナ、フィットネス、ビリヤード、プール、インターネットルーム、ゲームルーム、図書館がついており全て無料。そのほかにクリーニング、クリニック、スーパーマーケット、カフェ、書店なども完備しているという充実ぶりだ。
 マンションの広報担当者によると、入居者のうち二〇%が大学生。外国人も住んでおり、フィリピン人、マレーシア人、欧米人などが多い。
 部屋のタイプはベッドルーム一部屋のタイプが三七・二五平米、二部屋のタイプが五二・七五平米、三部屋のタイプが七八平米。学生たちの中には一人で住んでいる人もいれば、ファウスティンさんのように友人とシェアする人も多いという。
 エレベーターが時々故障することがあるというが、それ以外はすべて満足しているというファウスティンさん。サービスが行き届いた生活だが、寮のようなアットホームさ、友人付き合いはない。
 「コスに住んでいた時と今とどっちが良い?」と聞くと、返ってきた答えは「もちろん、断然今。前のコスは良くない子が多かったし」だった。

つづく


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