総選挙(来年四月五日投票)に参加する二十四政党の政党番号が八日、決まり、インドネシアの政局は二〇〇四年の総選挙と大統領選挙に向けて動きだした。総選挙委員会が発表した参加政党リストを分析した知識人は、「スハルト独裁政権を支えた守旧派が政界復帰する恐れがある」と一斉に懸念を表明したが、新顔の政党を見ると守旧派直系の政党、メガワティ大統領に抵抗する妹たちの党、大政党を抜け出した一匹おおかみの党、廃止された国民協議会の元地方代表議員が再就職を狙った党など、結党の動機も政策もバラバラの少数政党ばかり。このため既存の主要政党の優位は変わらず、選挙戦はメガワティ政権与党の闘争民主党とゴルカル党の二大政党を軸に展開することになる。
■主要7政党
一九九九年の総選挙以来の主要政党は、民族主義系の闘争民主党、スハルト政権の与党ゴルカル(職能グループ)を引き継いだゴルカル党、穏健派イスラム団体を母体とする民族覚醒党と国民信託党、スハルト政権の野党だったイスラム色が強い開発統一党、急進イスラム系の月星党、正義党の後継政党に当たる繁栄正義党が主な七政党。
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2004年総選挙の参加政党
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■旧ゴルカル系
元陸軍参謀長のハルトノ氏を中心に元ゴルカル構成員が結成、スハルト元大統領の長女トゥトゥット氏を大統領候補とする民族憂慮職能党は、守旧派の本命。パンチャシラ愛国党は、五月暴動などスハルト政権下で特殊工作に関わったヤクザ団体パンチャシラ青年団を母体とする。
■スカルノ一族
スカルノ家からは、長女のメガワティ大統領に批判的な次女のラフマワティさんが先駆者党を、三女のスクマワティさんがマルハエン主義国民党を結成した。妹たちの政治力は、姉の権力に歯が立たないが、三姉妹が三つどもえで選挙を戦うことになる。
■分裂した新党
主要政党から分裂した新党には、メガワティ大統領の「影のブレーン」だった映画監督のエロス・ジャロット氏の独立水牛国民党、ハムザ・ハズ副大統領に反発して開発統一党から枝分かれしたザイヌディン氏の改革星党がある。
■一匹狼の知識人
著名人が結成した政党には、経済評論家シャフリル氏の新インドネシア連合党、リアス・ラシッド元地方自治担当国務相の民族民主統一党、スハルト政権下で投獄された労働活動家のムフタル・パクパハン氏が旗揚げした民主社会労働党などがある。
ハビビ元大統領の側近でイスラム知識人協会(ICMI)会長のアディ・サソノ元共同組合相が党首を務める独立党も、このグループに含まれる。
こうした新政党の中には、超党派で在野の大物指導者を大統領候補に担ぐ動きがある。繁栄正義党は、イスラム知識人のヌルホリス・マジッド氏(チャック・ヌル)の擁立を検討。いずれも、メガワティ政権になって急激に衰退した改革機運を取り戻そうという狙いで、選挙戦に新風を吹き込みそうだ。
■党綱領イスラムは5党
総選挙委員会に登録した党綱領で、イスラムを掲げるのは五政党。その他は、パンチャシラ(建国五原則)やスカルノ元大統領が唱えたマルハエン主義を掲げている。