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2002年5月29日 じゃかるた新聞掲載

アロール島探訪(2)
連帯感を生む踊り 木に繋がれたブタ
 黒や紫色のイカットの民族衣装に身を包んだ村人たちが輪になって「レゴレゴ」と呼ばれるダンスを踊っていた。
 県都カラバイから東へ十三キロのアブイ族の住むタクパラ村。二十数人の男女が、しっかりと腕を組み、叫び声を上げながら踊り、グルグル回っていく。
 円陣の中で男性は弓矢を構え、女性は籐製のカゴを持ち、輪を描く。
 最初はゆっくりと回転していた踊り手の輪が、歌の調子に合わせ、徐々にスピードを増す。女性の足首の装飾品が「シャリ、シャリ」と金属音を放ち、大地を踏みしめる力強い足音と合わせ、観ている者の興奮がどんどん高まっていく。
 輪の中央にメスバと呼ばれる石を積み上げた直径二メートルの円形の台があり、その上に「モコ」と呼ばれる銅鼓が置かれている。この村に伝わる青銅製のドラムだ。
イカットを織る姿
テルナテ島では、ヤシの木陰でイカットを織る姿が至るところで見られる
 小学校の体育の教師で、村のリーダー格のアルカ・マルビイェティさん(四一)は「村の決め事や話し合い、祭事は、メスバで行われます」と語る。村人の連帯感を高めるためにレゴレゴが先祖代々、受け継がれてきた。
 カラバイからジープで丘陵を駆け上がること三十分。コピ・ディル(モンバン)村はタクパラ村と並び、伝統村として県の文化保護区域に指定されている。
 アニミズムと結びついたプロテスタントを信仰するカボラ族の八百六十人が住む。家はヤシで葺いた二階建ての高床式だ。一階は風通しのいい共同の生活空間、二階は三十人もの人が寝ることができる部屋、屋根裏はコメやトウモロコシなどの食糧や生活用品を収納する倉庫。
 村ではたくさんのブタが飼われている。木に繋がれているのを、あちこちで見ることができる。イスラムが支配的なジャワ島では滅多に見られない光景だ。村人にとって大切な栄養源であるとともに貴重な財産の一つ。結婚の際には、結納品として使われている。
 村の儀式や客人をもてなす時には、木の皮で作られた民族衣装の男たちが、刀を振りながら戦闘の踊りを披露する。村ごとに踊りの様式は異なるが、祭りごとの中心に銅鼓が重要な役割を果たしている。
 この村も、第二次大戦中の日本軍とのかかわりがあった。「村に駐屯していた日本兵が持ち込んだコーヒーを植え始めた。いつしか、村人がコピ・ディル村と呼ぶようになった」と村の長老が説明してくれた。

つづく


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